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大阪地方裁判所 昭和36年(ワ)1970号 判決

原告 山上芳子

右訴訟代理人弁護士 吉田鉄次郎

被告 後藤市松

右訴訟代理人弁護士 藤井哲三

同 和田一夫

主文

被告は原告に対し金一三万〇八五一円を支払え。

原告その余の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

この判決は主文第一項に限り原告において金四万円の担保を供するときは仮りに執行することができる。

事実

≪省略≫

理由

一、原告の母亡米谷チヨがもとその所有にかかる別紙第一目録記載の土地(本件土地)を被告の先代亡後藤松治郎に賃貸していたところ、右後藤松治郎が昭和二八年に死亡したので、被告が右土地の賃借権を相続により取得し、以後該地上に別紙第二目録記載の建物を所有して養鶏業を営んでいたこと、一方原告の母亡米谷チヨは同三一年一〇月二〇日死亡し、原告とその妹福井光子とが共同でその遺産を相続したがその後昭和三二年一月遺産分割の結果原告が本件土地の所有権を取得し、被告に対する本件土地の賃貸人たる地位を承継したこと、その後原告が昭和三三年一一月一七日付書留内容証明郵便を以て被告に対し、同年一一月分以降本件土地の地代を一ヶ月一坪につき金三五円五七銭、全体につき合計金一万〇七六七円に増額する旨の意思表示をなし、右書面が翌一八日被告に到達したこと、以上の事実についてはいずれも当事者間に争いない。

二、そこでまず右原告のなした地代増額の意思表示の適否及び昭和三三年一一月当時における本件土地の適正地代額について判断する。

(一)本件原、被告間の大阪地方裁判所昭和三三年(ワ)第五七二八号地代金値上確認請求事件において、同裁判所の選任した鑑定人荒木久一は、従来から賃貸借契約が存在している場合の昭和三三年一〇月当時における本件土地の適正地代は、一ヶ月一坪当り金四三円、全体につき合計金一万三〇一六円を相当とする旨の鑑定をしていること、又その後右事件が大阪簡易裁判所の調停に付された後、同裁判所において選任した鑑定人小出憲は、同じく従来から賃貸借契約が存在している場合の昭和三三年一一月当時の本件土地の適正地代は、一ヶ月一坪当り金五六円を相当とする旨の鑑定をしていること、以上の事実についてはいずれも当事者間に争いない。

≪証拠省略≫によれば、訴外三宅通夫は従来から賃貸借契約が存在している場合の昭和三三年一〇月当時における本件土地の適正地代は、一ヶ月一坪当り金三五円五七銭全体につき合計金一万〇七六七円と評価していること、又鑑定人中村忠は、同じく従前から賃貸借契約が存在しており、かつ土地の使用目的が養鶏業に限定されている場合の昭和三三年一一月当時の本件土地の適正地代は、一ヶ月一坪当り金三六円、全体につき合計金一万〇八九八円と鑑定していることが認められる。

そして≪証拠省略≫によれば、本件土地は大阪市生野区の北部に位置し、大阪市営バス生野区役所前停留所より南西へ徒歩約五分のところにあり、附近には生野電話局、生野区役所、勝山高等学校等がある外、最近では附近一帯が都市計画による住宅地域の指定を受けて住宅や店舗用住宅の増加する傾向にあること、そして鑑定人中村忠は、昭和三〇年当時における本件土地の適正地代は、全体につき一ヶ月金五一四六円(坪当り金一七円)と鑑定していること、以上の如き事実が認められ、他に右認定を左右するに足る証拠はない。

(二)しかしながら他方、本件土地は大正九年七月一日、被告の先代亡後藤松治郎が原告の先代々米谷忠左衛門から養鶏業を経営するために借受けたものであつて、その後右被告の先代及びその相続人の被告が、原告の先々代、先代、及び原告から引続きその使用目的を養鶏業に限定して本件土地を賃借し、これを専ら右養鶏業を営むために使用していたこと(尤もその一部は右養鶏業を営むために必要な自己の住居の敷地として使用)、そして昭和三三年一一月当時も本件土地の使用目的は従前と同様に右養鶏業を営むことに限定されていたこと、又本件土地は、少くとも昭和二五年八月頃から同二七年一一月頃まで当時は全体で一ヶ月金一一七四円三二銭、同二九年四月頃から同年終り頃まで当時は一ヶ月金二三六一円、同三〇年四月頃から同三二年三月頃まで当時は一ヶ月金二五〇六円であつたこと、及び本件土地の固定資産税評価額は、昭和二六年度は金二六万六九三〇円、同二七年度は金五一万四六〇〇円、同二八年度は金五六万五七六〇円、同二九年度乃至三二年度は金八三万五四〇〇円、同三三年度乃至三五年度は金九二万六二〇〇円であつたこと、以上の事実については、いずれも当事者間に争いない。

(三)≪証拠省略≫を綜合すると次の如き事実を認めることができる。すなわち、被告の先代亡後藤松治郎が大正九年七月一日原告の先々代から本件土地を借り受けるに当り、その地代は本件土地の使用目的が養鶏業を営むことであつたところから、通常の住宅地として借り受ける場合に比し約二割程度低い坪当り五銭、全体につき一五円一三銭三厘と定めて本件土地を借り受けたこと、しかして本件土地の地代はその後順次値上げされ、昭和二五年八月頃から同二七年一一月頃まで当時は全体で一ヶ月金一一七四円三二銭同二九年四月頃から同年終り頃まで当時一ヶ月金二三六一円、同三〇年四月頃から同三二年三月頃までは一ヶ月金二五〇六円であつたが、同三二年四月からは原、被告間の合意により一ヶ月金二六四五円に値上げされ、その後同三三年一一月原告が本件地代増額の意思表示をするまでは引続き右一ヶ月金二六四五円であつたこと、なお昭和三三年当時、本件土地の近隣で養鶏業を目的とする土地の地代は一ヶ月一坪当り金五円乃至九円であつたことが認められ、右認定に反する被告本人尋問の結果(第一回)はたやすく信用できず、他に右認定を左右するに足る証拠はない。又鑑定人中村忠の鑑定の結果によれば本件土地の使用目的が所謂養鶏業用に限定されている場合の地代は、土地使用の適応性を欠く利用のため、一般の住宅地として賃貸される場合に比し約七〇%減額さるべき旨の鑑定をしていることが認められる。

(四)しかして以上の如き諸事実を綜合して考えるときは、前記の如く昭和三二年四月当時に原、被告間において協定された本件土地全部に対する地代一ヶ月金二六四五円は、当時の一般的な適正地代額に比し著しく低廉であつたというべきであり、かつ当時一般に地価が毎年騰貴していたことは当裁判所に顕著であるから、被告主張の如く本件土地の固定資産税評価額が昭和二九年から同三二年までは金八三万五四〇〇円、同三三年から同三五年までは金九二万六二〇〇円であつて、その間わずかに金九万〇八〇〇(一、〇八割強)増加したに過ぎず、又本件土地の地代が過去において累次に亘り、値上げされてきたこと等を考慮しても、なお原告は、本件土地の地代が前記の如く一ヶ月金二六四五円に協定された昭和三二年四月からその後一年七ヶ月を経過した同三三年一一月当時において、借地法第一二条に基き本件土地の従前の地代額を適正な地代額まで増額する旨の請求をすることができるものと解すべきであり、この点に関する被告の主張は失当である。

(五)次に原告が本件地代増額の意思表示をなした前後の頃の昭和三三年一〇月乃至一一月当時における本件土地の適正地代額については、前記(一)に認定の通り、鑑定人荒木久一、同小出憲、同中村忠等は、いずれも一ヶ月一坪当り金三六円乃至五六円、全体につき金一万〇八九八円乃至金一万六九五一円と鑑定しており、又訴外三宅通夫は一ヶ月一坪当り金三五円五七銭、全体につき金一万〇七六七円と評価しているが、他方前記の通り、原告が本件土地の地代増額の意思表示をなす以前の本件土地の地代は、原、被告間においてその全体につき昭和三二年四月以降一ヶ月金二六四五円と協定されていたのであるから、その後わずかに一年七ヶ月を経過したに過ぎない同三三年一一月に至り、当時所謂インフレーシヨン等により、短期間内に本件土地の地価及びその他の諸物価が数倍乃至数一〇倍も高騰した等の特段の事情が認められない本件において、右鑑定の結果等に依拠して本件土地の地代を一挙に従前の約定地代の四倍以上に当る一ヶ月金一万〇七六七円に増額請求することは、賃借人たる被告の地位を不当に害することになるのであつて、かかる多額の増額請求を一挙にすることは許されないものといわなければならない。しかして前記の如く本件土地の従前の約定地代が一ヶ月金二六四五円であつたこと、及び右地代額が一般に比し不当に安かつたことの外、本件土地の使用目的が養鶏業を営むことに限定されていたことや前記固定資産税評価額のその後の増加割合、前記鑑定の結果等その他上来認定の諸事実を綜合して考えるときは、昭和三三年一一月当時において増額さるべき原、被告間の本件土地の適正地代額は、その全体につき一ヶ月金七〇〇〇円を以て相当と認むべきである。

尤も原告は、本件土地の昭和三二年当時の売買価格は坪当り金五〇〇〇円であつたが、その後地価の高騰により昭和三三年一〇月頃には坪当り金二万五〇〇〇円、昭和三六年末頃には坪当り金五万円となり、これに伴つて近隣の地代も急騰したし、又原告は昭和三五年一二月二三日に本件土地の地続の宅地二〇坪を一ヶ月一坪当り金一〇〇円の賃料で他に賃貸したとの各事実をも一事由として、原告主張の本件増額請求にかかる地代額は適正なものであると主張しているところ、右原告主張の本件土地の売買時価額及び近隣の地代が急騰したこと等についてはこれを認めるに足る適確な証拠がないし、又公証人作成部分につき成立に争いない甲第一一号証によれば、原告はその主張の如く昭和三五年一二月二三日頃本件土地附近にある宅地二〇坪を一ヶ月一坪当り金一〇〇円で他に賃貸したことが窺われるけれども、右は本件土地の地代増額の意思表示がなされてから二年余り後のことであつて、しかも新に宅地を他に賃貸した場合に関するものであるから、原告主張の本件増額請求にかかる適正地代額を判断するについては直接の関係はないというべきである。したがつて昭和三三年一一月当時における本件土地の適正地代額が少くとも一ヶ月金一万〇七六七円以上であるとの原告の主張は、前記認定の一ヶ月金七〇〇〇円を超える限度において失当である。

(六)よつて原告が被告に対し、昭和三三年一一月一八日到達の書留内容証明郵便を以てなした本件土地全体の地代増額請求は前記一ヶ月金七〇〇〇円を超える部分につき無効であるから、本件土地全体の地代は右原告の地代増額請求により昭和三三年一一月一八日以降一ヶ月金七〇〇〇円に増額されたものというべきあつて、右限度を超える原告の主張は失当である

三、次に原告が昭和三三年一一月一八日以降の本件土地全部の地代が合計一ヶ月金一万〇七六七円に増額されたとして、被告に対し、その後昭和三六年五月一三日付書留内容証明郵便を以て、右三三年一一月一八日以降昭和三六年四月までの本件土地の延滞地代として一ヶ月金一万〇七六七円の割合による金員を右書面到達後五日以内に原告代理人弁護士吉田鉄次郎方法律事務所に持参して支払うよう催告し、もし右期限内に右金員を支払わないときは本件土地の賃貸借契約を解除する旨の停止条件付解除の意思表示をなし、右書面が翌一四日被告に到達したことは当事者間に争いなく、又証人山上廉一の証言及び弁論の全趣旨によれば、被告が右催告期限内に右催告にかかる金員全額を現実に支払わなかつたことが認められ、他に右認定を左右するに足る証拠はない。

四、そこで右原告のなした停止条件付解除の意思表示が被告主張の如く無効であるか否かについて判断する。

(一)まず、前記認定の通り、昭和三三年一一月一八日以降の本件土地全部に対する地代額は、原告の地代増額請求により、一ヶ月金七〇〇〇円の限度において増額されたものというべきであるから、前記原告の催告にかかる一ヶ月金一万〇七六七円の割合による延滞地代額のうち、右一ヶ月金七〇〇〇円を超える金三七六七円についてはその当初からもともと被告にその支払義務がなかつたものといわなければならない。

(二)次に被告が前記原告から本件土地の地代増額の請求を受けた前月の昭和三三年一〇月分以降前記原告の催告にかかる同三六年四月分まで、並びにそれ以降も昭和三八年一〇月まで、本件土地の地代として従前の地代額である一ヶ月金二六四五円の割合による金員をその都度弁済供託していることは当事者間に争いないところ、右争いない事実に、≪証拠省略≫を綜合すると次の如き事実を認めることができる。すなわち、被告はすでに昭和三三年四月頃原告から本件土地の地代の値上要求を受けていたが、その後同年九月分までの地代は一応従前通り一ヶ月金二六四五円の割合で支払い、ついで同年一一月になつてから同年一〇月分の本件土地の地代を支払うべく、従前の地代額である金二六四五円を原告方に持参してこれを右地代支払のため現実に提供したところ原告は被告に対し、今後一ヶ月一坪当り金三五円五七銭全体につき金一万〇七六七円(前記増額請求)にかかる地代額の割合でなければ、本件土地の地代を受取ることはできないとして右一〇月分の地代の受領を拒絶し、ついでその後間もなく被告を相手方として大阪地方裁判所に右一ヶ月金一万〇七六七の割合による本件土地の地代金値上確認訴訟を提起し(同庁昭和三三年(ワ)第五七二八号事件)、右地代額につき原、被告間に紛争が生じたこと、そこで被告は同年一二月二二日に至り同年一〇月分及び一一月分の本件土地全部に対する地代として従前の一ヶ月金二六四五円の割合による金員を弁済供託した外、その後引続き前記原告から延滞地代の支払催告を受けた前後の頃までに、昭和三三年一二月分以降右催告にかかる昭和三六年四月分までの本件土地の地代として右一ヶ月金二六四五円の割合による金員をその都度弁済供託し、なおその後も引続き昭和三八年一〇月分まで右と同様に弁済供託をしていること、そしてその間において前記原告が被告を相手方として大阪地方裁判所に提起した地代金値上確認訴訟はその後大阪簡易裁判所の調停に付され同裁判所において調停の続行中であつたのにも拘らず、原告は昭和三六年五月一三日被告に対し、当時被告が前記弁済供託をいていることを全く無視して、前記の如く昭和三三年一一月一八日以降同三六年四月までの本件土地の延滞地代として一ヶ月金一万〇七六七円の割合による金員の持参支払を請求し、右金員を所定の期限までに持参支払わないときは本件土地の賃貸借契約を解除する旨の停止条件付解除の意思表示をなしたるものであること、以上の如き事実が認められ、右認定に反する証人山上廉一の証言及び被告本人の供述はたやすく信用できず、他に右認定を左右するにある証拠はない。

しかして以上認定の事実関係からすれば、右被告の供託している金員は、原告の前記地代増額請求のあつた昭和三三年一一月一八日以降の分については、本件土地の適正地代と認められる前記一ヶ月金七〇〇〇円の割合による地代額に満たないけれども、前述の如く当時原告主張の増額請求にかかる本件土地の地代額について原、被告間に争が生じ、かつそれが訴訟で争われており、しかも結果的には原告の増額請求の一部が認められないのであつて、かかる場合においては、通常賃借人たる被告においてその客観的な適正地代額を認識することは甚だ困難であるというべきであるから、前記の如く原告が被告の提供した従前の割合による地代の受領を拒否し、ついでその後前記の如き訴を提起した以上、右被告のなした弁済供託は信義則上一部弁済として有効と解するのが相当であり、右供託が無効であるとの原告の主張は失当である。したがつて右昭和三三年一一月一八日以降の一ヶ月金七〇〇〇円の割合による被告の地代債務は右弁済供託により、いずれもその頃右供託の限度で消滅していたものというべきである。

(三)  してみれば、原告のなした前記一ヶ月金一万〇七六七円の割合による延滞地代の支払催告は、前記(一)の本来被告に支払義務のない一ヶ月金三七六七円の割合による金員及び同(二)の弁済供託により弁済されたものと認められる金額を除いた残余の、当時被告が客観的に支払義務を負担していたものと認められる延滞地代額一ヶ月金四三五五円の割合をはるかに超えるものであつて、右はいわゆる過大催告であるというべきところ、前記(二)に認定した事実関係からすれば、原告が右延滞地代の支払催告をした当時、被告において適正と考える地代額を提供しても原告は右催告にかかる一ヶ月金一万〇七六七円の割合による金員全額の支払提供がなければこれを受領する意思がなかつたものと認むべきであつて、これに反する証人山上廉一の証言はたやすく信用できず、他に右認定を左右するに足る証拠はないから、本件賃貸借契約解除の前提たる右催告は過大催告としてその全部につき無効であると解すべきであり、したがつて又右無効な催告に基く本件賃貸借契約解除の意思表示も無効であるといわなければならない。

五、よつて原告の本訴請求のうち、本件賃貸借契約が適法に解除されたことを前提として別紙第二目録記載の建物を収去してその敷地である本件土地の明渡を求め、かつ右解除されたと主張する日以後の昭和三六年五月二〇日以降右建物収去土地明渡済に至るまで一ヶ月金一万〇七六七円の割合による賃料相当の損害金の支払を求める原告の請求部分はすべて失当である。

又昭和三三年一一月一八日以降同三六年五月一九日まで一ヶ月金一万〇七六七円の割合による延滞地代の支払を求める請求部分のうち、一ヶ月金七〇〇〇円の割合による金員を超える部分については、前述の通り、原告主張の地代増額の意思表示が無効であつてその賃料債権はもともと発生しておらず、又右一ヶ月金七〇〇〇円の割合による地代債権については、被告は前述の通り、昭和三三年一〇月分以降同三六年五月分までは勿論、それ以降の分も、引続き本件土地の地代として一ヶ月金二六四五円の割合による金員をその都度弁済供託しており、かつ右弁済供託は一部弁済として有効なものであつて、その限度で被告の地代債務は消滅しているものというべきであるから、右原告の延滞地代の支払を求める請求部分は、一ヶ月金七〇〇〇円から金二六四五円をさし引いた残額の一ヶ月金四三五五円の割合による金員の支払を求める限度で正当であつて、その余はすべて失当である。

六、以上の理由により、原告の本訴請求は、昭和三三年一一月一八日以降同三六年五月一九日まで一ヶ月金四三五五円の割合による延滞地代金合計金一三万〇八五一円(但し、昭和三三年一一月分の延滞地代は日割計算により金一八八七円であり、又昭和三三年一二月分以降同三六年四月分までの二九ヶ月分の延滞地代は計金一二万六二九一円であり同三六年五月分の延滞地代は日割計算により金二六六九円であつて、以上合計金一三万〇八五一円)の支払を求める限度でおいてのみ正当であるから、右限度で認容し、その余はすべて失当であるからこれを棄却し、訴訟費用につき民事訴訟法第九二条但書を、仮執行の宣言につき同法第一九六条を各適用して主文の通り判決する。

(裁判官 後藤勇)

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